平成23年度の地方銀行の地域密着型金融への取組み状況について ー東日本大震災からの復興支援の取組み事例などを取りまとめー

地方銀行における「地域密着型金融」に関する取組み状況

2012年09月12日

一般社団法人全国地方銀行協会(会長 佐久間 英利)では、平成23年度の地方銀行64行における地域密着型金融に関する取組み状況の取りまとめ結果を当協会のホームページに掲載いたしましたので、お知らせいたします。
地方銀行は、地域のお取引先が直面する経営課題を共有し、ともにその解決に当たるということを社会的使命と認識し、そのために各行が個性ある地域密着型金融を実践しております。その取組みについてより多くの皆さまに知っていただくため、昨年度より、当協会ホームページ上で業界全体としての取組み状況の公表を開始いたしました。ホームページでは、全体的な取組み状況のほか、東日本大震災からの復興支援への取組み事例や企業再生支援事例など、会員銀行の具体的な取組み事例(262事例)を分野別に取りまとめ、掲載しております。
また、地方銀行は、持続可能性のある豊かな地域社会づくりのため、環境問題への取組みをはじめ、様々な地域貢献活動に取り組んでおります。今回は参考として、こうした地域貢献活動への取組み状況も併せてご紹介しております。
次回は、平成24年度の状況を、平成25年度上期中に公表する予定です。

本件に関するお問い合わせ先

企画部 (新村、小森) TEL 03(3252)5171

概要

1.東日本大震災からの復興支援

東日本大震災からの復興を積極的にサポートし、被害を受けられたお客さまの経営再建や生活支援、地域全体の活性化に向けて全力で取組みました。

2.地元の中小企業の経営支援

創業・新事業の開拓を目指すお客さまへのサポート

融資や企業育成ファンドへの出資等を通じて事業立ち上げ時の資金需要に対応しました。また、地元大学、公的金融機関、地方公共団体等と連携し、新たな技術の製品化・商品化の支援などを実施しました。

  • 創業・新事業支援融資実績 平成23年度中 382億円(前年度中 562億円)
  • 225の企業育成ファンドに約600億円を出資(平成23年度末)

更なる成長を目指すお客さまへのサポート

国内・国外における各種商談会の開催などによるビジネスマッチングや、海外現地情報の提供や現地金融機関との連携等による海外進出支援等を通じ、新たな販路獲得や新たな事業展開等のサポートを実施しました。

  • ビジネスマッチングの成約件数 平成23年度中 24,250件(前年度22,834件)
  • 約9,000先のお取引先の海外進出や海外ビジネス支援を実施(平成23年度中)

経営改善・事業再生等が必要なお客さまへのサポート

中小企業金融円滑化法の最終延長の趣旨を踏まえ、企業再生支援機構等の外部機関とも連携しながら、再生計画策定支援や貸付条件の変更のご相談への対応を実施しました。また、デット・エクイティ・スワップ(DES)やデット・デット・スワップ(DDS)等、新たな支援スキームを活用した支援にも取組みました。さらに、動産・債権担保融資(ABL)や企業再生ファンドへの出資を通じた支援にも積極的に取り組みました。

  • 経営改善支援取組み先のうち、
    再生計画策定率:63.7%(前年度62.2%)
    ランクアップ率:5.4%(同6.3%)
  • DDSの実績 平成23年度中
    件数:49件(同35件)
    うち資本的劣後ローン
    件数:47件(同24件)
  • ABLの実績 平成23年度末
    先数:1,372先(前年度末1,325先)    
    残高:1,244億円(同1,150億円)

事業承継を望まれるお客さまへのサポート

相続対策支援、企業・事業部門の譲渡を望まれるお客さまへのM&Aのマッチング支援、事業承継セミナーの開催等を行いました。

  • 約9,000件の事業承継の相談を受付け(平成23年度中)

用語の解説

  • デット・エクイティ・スワップ(DES)…債務の圧縮のため、既存の貸出債権の一部を当該お取引先に対する株式に振り替えること。
  • デット・デット・スワップ(DDS)…既存の貸出債権を他の債権よりも弁済順位が劣後する債権(劣後ローン)に変更すること。劣後ローンのうち一定の要件を満たすものは資本的劣後ローン(資本性借入金)と呼ばれ、銀行の自己査定上、資本とみなされるため、債務者にとっては新規融資を受けやすくなる等のメリットがある。
  • 動産・債権担保融資(ABL)…借り手の事業活動そのものに着目し、商品在庫、原材料、機械設備等の動産や売掛債権を担保に資金を貸し出す仕組み。

地方銀行各行における具体的な取組み事例集